15.翔ぶが如く4
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/03/08
- メディア: 文庫
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本巻では前巻の西郷の下野から始まり、元司法卿 江藤新平が起こす佐賀の乱、台湾への出兵までを描いている。幕末から明治維新を立ち上げた三人(大久保、木戸、西郷)らの関係としては、西郷ら薩摩軍が(西郷らの意思に反して)江藤らの乱に乗ずることを恐れ即座に鎮圧に向かう大久保、薩摩人の関係にうんざりし(台湾出兵なども含め)て批判と共に辞表を出す木戸、江藤の早すぎる蜂起を冷ややかにみている西郷
印象に残った部分としては。
西郷が、功のあった者に官職をほうびとして与えてはいけない、あくまでもほうびをやればよいのだ、といっている(以下略)
というのは何かのビジネス書で読んだことがある。官職は徳あるいは仁のある者に与えよということだったと記憶している。
どこかは忘れたのでそのまま引用はできないが、政府は佐賀の乱のような小さな戦争が起こるたびに組織として強くなってゆく、というところは学ぶべきところだと思った。
また、西郷や大久保は、最終的には判断者という役に徹しているいうことも重要だ。彼らは非常に有能ではあるが、部分的な分野に詳しいものに十分な権限を与え最終的な判断のみを彼らが行っている。これは(まだ少ししか読んでいないが)大前の『プロフェッショナル』のエンパワーメントの部分に通ずるだろう。そういう意味では『坂の上の雲』に置いて海軍をたたき上げた山本権兵衛や秋山真之や児玉源太郎も上に判断者として有能な上司がいたからこそ実務をこなせた者達ではないだろうか。秀吉も人たらしとして同様な人物だったのだろう。次の巻で物語りはちょうど折り返しになる。非常に楽しみだ。