22.ちいさな王子(訳:野崎歓)

ちいさな王子 (光文社古典新訳文庫)

ちいさな王子 (光文社古典新訳文庫)

 気になる表現・好きな表現・その言葉が元になって何かしらのことを連想させる表現には付箋を貼るようにしているんだけど文章の量の割に付箋の量が多い、それは話の中盤以降つまりちいさな王子が地球に来てから急に増えていく。他者とのつながりがあらたなものを生み出すということかもしれない。
 この小説でおそらく最も有名なのはきつねに教わった次のフレーズなんじゃないだろうか。

p.113
「大切なものは、目には見えない」

これは、自分と友達をつなぐものは決して目には見えない「きずな」なんだよ、ということ意味している。自分と友達、そしてその他大勢の人たちの間には目に見えた違いはない。だけどその間には目には見えないつながりがあるんだよ、と。
 さっき、この本には付箋を多く貼ったと書いたけど、ふと子ども視点あるいはもっと異なった視点による、何気ないそして考え出すとなかなか深いようなものも多い。

p.96
「人間ですが?たぶん、六人か七人はいるでしょうね。何年か前に見かけましたよ。でも、どこにいるのかなんて知りません。なにしろ風まかせでしょう。人間には根っこがありませんもの。それで人間はずいぶん苦労しているんですよ」

いろいろあるけど個人的には、次のセリフ。

p.108
「辛抱がかんじんだよ。最初はぼくからちょっと離れて、こんなふうに、草むらにすわるんだ。ぼくはきみのことを横目で見るけど、なんにもいわないでね。ことばは誤解のもとだから。でも毎日少しずつ、ぼくの近くにすわるようにして・・・」

「ことばは誤解のもとだから」。いいです。この小説に出てくるとなんとも言えない雰囲気をかもし出すよね。