036.作家の値うち 福田和也

作家の値うち

作家の値うち

これを100冊の中に含めていいかどうかは少し微妙だが(まぁまぁ)。

このすべてが日本人作家で、エンターテイメント/純文学に大別し評価されている。正直、知ってはいても読んだことのない作家があまりにも多くまだまだだ、と思わされたことが一番の収穫だったかもしれない。

少し意外だったのが、村上春樹が純文学に大別されていることだ。確かに世界的には、恐らくこれまでの日本の中で最も高い評価を得ている作家だと思う。その一方で、文壇からは突き放されているイメージがあった。それを、夏目漱石以来の重要作家だと評している。個人的には満足。『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の評価が高かったのも満足だった。また、『ねじまき鳥クロニクル』の評価が恐らく本書最高の評価値だったのは、へーと思わされた。もう一度読み直してもいいかもしれない。2000年以前の長編のうちあの作品だけは唯一再読していないし。


もう一点。
筆者の本を読むペース。驚嘆。以前に、『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』という本を読んだことがあったが、表題の通り恐ろしい読書ペース。いくら仕事とはいえすごいなぁ。ちなみに、本書は9ヶ月で700冊読んだ小説を評価したものらしい。