5.翔ぶが如く3

新装版 翔ぶが如く (3) (文春文庫)

新装版 翔ぶが如く (3) (文春文庫)

 本巻では渡韓を急ぐ西郷らとそれらを何とか防ごうとする大久保らの廟儀での衝突から始まり、西郷らの下野までが描かれている。明治維新というと海外列強らの軋轢の中のまったくの後進国である日本を叩上げた政府ということで大久保をはじめ多くの偉人を擁しているとのイメージがあって、逆に西郷は(世間的にはまったく逆みたいだけど)完全に悪役のイメージが強かった。でも、実際に偉人たちはやはりというか必ずしも完全な人間ではないようで、木戸の人間の難しさや大久保との仲、裏切りの多い公家たち(三条、岩倉)、さらに汚職を行う山県など暗い面も多く記述されていて、人間臭い部分が逆に面白かった。
 しかしながら、たとえば川路らは凄まじい激務をこなしており、そういう部分は有能だったんだろうな。