16.「超」整理法1 押出しファイリング
- 作者: 野口悠紀雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2003/05/23
- メディア: 文庫
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本手法の根底となる主張として、
情報は分類できない(分類が困難)
ということがある。これはWeb2.0のポリシーと通ずるものがあるともう。情報はいくつかの属性を同時に持つのでユニークに分類することはほとんど不可能なのだ。だから既存の多くの整理法はうまくいかないのである。そこで筆者が主張しているのは、
情報は時系列に整理しろ
ということだ。実際多くの情報には時間的局所性がある。だからよく使用する情報はすぐ見つかる部分に置き、よく使用するとは限らないものは少し時間がかかるが探索の優先順位の低い場所に置く。それにより情報に対する平均アクセス時間が短くなる。
そしてもう一つは、
情報は一箇所にまとめる
ということだ。したがってその中さえ探せば(その情報が存在するのであれば)必ず見つけることができる(見つからなければその情報はすでに捨てたものだということが保証できる)。だから、あちこちを探し回る必要がない。これは大したことではないと思うかもしれない。しかし、書類などをしまった場所がいくつかあるとあそこにあるかもしれないし、こっちにあるかもしれないということになると非常に面倒だ。これはスケジュール管理などについても同様だ。
さて、本手法のやり方は非常にシンプルだ。たったの4つ。
- 情報を構成する最小限の単位にまとめ封筒などに入れる
- それを棚の片側(仮に右側とする)から入れていく
- 使用した情報は今の位置から最右の位置に移動する
- 重要な書類(印鑑や証明など―このことを神様ファイルと名づけている)は別の色の封筒にいれて最左に置く
さて、この手法のメリットをまとめると以下のようなことがあげられるだろう。
- 導入が容易
- 継続が容易(エントロピーが減少する―シンプルなルールを維持するだけで情報がぐちゃぐちゃにならない)
- 平均アクセスタイムが短い
その一方でデメリットは次のようなものだ。
- 最悪アクセスタイムは悪い(だが情報の有無の存在を証明できる。そこになければほかにもないといえる)
- どちらかというと個人的な書類整理向き(ある人の情報の時間的局所性は別の人にとっては同じではない)
- 情報の一元管理は場所がないと量が増えると困難(?)
三章だけ読めばいいと書いたのは、その他の章ではこの手法のメリットや他の手法との比較が占めているからというだけで、それらを知りたいならば十分に楽しめると思う。