19.マリア様がみてる 大きな扉 小さな鍵

 前巻からの続き。この巻では祐巳の視点で語られることは一切ない。前巻でロサ・キネイシスになった祐巳。しかし、祐巳の視点でストーリーが進んでいくと、読者は最初のころとそれほど彼女の成長を目の当たりにしにくいところがある。しかし、一旦祐巳の眼を離れ周囲の人たちから彼女を取り巻くできごとをみてみると予想以上に祐巳の成長を見ることができると思う。

 さて、今回では瞳子の悩み・秘密が明らかになる。こうみると夏休み―つまり12巻の別荘でのお話―における瞳子の態度は伏線だったのかもしれないと思ってしまう。本当のところは分からないけど。そして、結局話は次巻『クリスクロス』に続いていき、発売当時はまたもや読者をがっかりさせることになったのだろう。でも、瞳子の秘密が明らかになったことで読者は一安心したんだろうな。