趣味は読書。

趣味は読書。from情報考学

本好きにはベストセラーを敢えて読まない人も多いと思う。

 『ハリーポッター』や『情熱と冷静の間』、『チーズはどこに消えた』といったベストセラーに関しては、結局読むことも少なくないが「敢えて」というのは確かにあるかもしれない。僕の場合は幸か不幸か読書好きの人がそれほど多くないので、

自称・他称の”本好き”は、人からベストセラーの感想を聞かれることが多い

ということはない。いや、本好きの友達を増やしたいとは思っているんだけど。他大学の工学部の友達も「理系で本好きなんて珍しいね」と言われたこともある。実際のところたとえ理系であろうがそれほど少なくもないとは思う。でも、もしかしたら本好な理系と本好きな文系とにおいて「その趣味をあまり表に出さずにいる人」の割合には違いがあるかもしれない。僕なんかは変なことも含めていろいろオープンにしているんだが、かといってそれを他人に理解されることはあまりない。

趣味は読書。

趣味は読書。

 話がわき道にそれた。上に挙げたエントリは斉藤美奈子の「趣味は読書。」という本の書評なのだが、

見事なのは、どの書評も面白いのだが一冊も読んでみる気にならないということ(笑)。

というのは興味深い。この「一冊も」というところには橋本氏の恣意的なものを感じるが、あるいは筆者の斎藤氏の思考が文章に表れているからかもしれない。書評の才能は読者の読書欲をいかにかきたてるかにある。だがそれ以上に、書評は面白くかつ対象となる本そのものは面白そうではないように評するのはもっと難しいだろう。それだけ書評する力を持ち多くの本を読みこなしている人が、(さりげなくとも)そのように感じそのように主張しているのにはベストセラーという現象の裏側に何かしらの問題が潜んでいるからではないだろうか。


 自分の読書傾向を顧みるとこってりとした文学書を読むことは少ない。多少甘く見ても多くはない。面白そうだ!と感じたものから適当に、だが事前に読む価値があるのかどうかを調べて読んでいる。好みだからか新書やビジネス書が比較的多い。もちろん必ずしもそれが直接「悪い」ということにつながっているわけではないと思っている。しかし、それでも趣味としての対象範囲が"薄い"と批判された気がした。あくまで趣味であり自分の好きなように読んでいいのだが、一方で趣味だからこそもっと多面的で厚みや広がりのある読書を意識していきたいとも思う。だからといってそこからすぐに古典に走るのは愚かなことかもしれないんだけれど。