23.サブリミナル・マインド 潜在的人間観のゆくえ
- 作者: 下條信輔
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/10/25
- メディア: 新書
- 購入: 29人 クリック: 110回
- この商品を含むブログ (78件) を見る
ユングとかフロイトみたいな思考的な内容じゃなくて実験を通して脳・人間の行動を解説しているからかなり面白い。
人は「悲しいから泣く」のか、それとも「泣くから悲しい」のか。たぶん普通の人なら前者を選ぶ人も多いんじゃないだろうか。
でも実際には後者を説明できるようなエビデンスも数多くある。有名なもので言えば「つり橋効果」。「江角マキコの恋愛の科学」でも解説してた覚えがあるけど誤解を恐れずに言うと、
つり橋の途中で出会った異性に対しては好感を持ちやすい
ってこと。
つり橋の上では多くの人々が、「つり橋を歩いている恐怖によって鼓動が早まる」傾向にあるが、ココロがそれを「異性に対して好意を持っていることから鼓動が早まっているんだ」、と間違った方向へ勘違いしてしまう(誤帰属してしまう)ことがその原因だと言われている。つまり、「好意を持った→ドキドキ」ではなく「ドキドキ→好意を持った(はずだ)」になってることがわかるだろうか。これは最初に言った「悲しいから泣く」んじゃなくて「泣くから悲しい」んだと言ってることと同じはず。
題の通りサブリミナル効果などについても触れられている。
心理学は人間のことを調べる学問でありながら、その内容は人の想像を大きく凌駕している。知らない人には驚きの連続だと思う。内容はそれほど難しくないと思うけど論理的に話を理解しようとしないと、何でそんなに被験者群や実験条件を準備するのかといったことが分からないかもしれないのでそこだけは注意。