32.博士の愛した数式 ★★★☆☆

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

 プロット云々より数学のちょこっとした話が以外に面白かった。以前「趣味は読書。」で、辛口書評を読んだことがあるいわずと知れたベストセラーだけどシナリオとしては特に泣き所があるわけでもなく淡々とした展開が続く。が、それがある意味でいい雰囲気、言い換えれば世界観をかもし出しているところもある。とはいえ、80分しか記憶が持たないという設定は結構難解な設定なんじゃないだろうか。記憶を失うタイミングやそのようなもろもろの設定は、確かに説明されているけどおそらく抜け穴がありそうで読みながら、こういう状況では博士の記憶はどうなるんだろうか?といった、言ってしまえば細かい部分が気になって気になって夜も眠れなかった。


 そして本題は数学について。シナリオはともかくとして博士の整数に対する造詣の深さは非常に面白かった。膨大な知識と直感(あるいは計算能力?)でさまざまな整数の間に、瞬間的に何らかの整数論的関係を見出す部分には、「ご冗談でしょう、ファインマンさん」に通ずる感触を覚えた。僕は数学はそれほど得意とはいえない上に、周りに数学の天才がいないので正直こういう人がどのくらいいるのかどうかが気になるところです。話を少し戻すけれども、読んだことがない人!「ご冗談でしょう、ファインマンさん」は必読です!!

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)


 最後に、今回から点数をつけてみる。本書は無難な展開で、特筆すべきところや、心を揺り動かした部分はないけれども、その一方ですらすらと読ませ、かつなんとなくすっきりと終わらせてくれたのでとりあえず3点。