62.ぼくが読んだ面白い本・ダメな本そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術 立花隆

 趣味は読書だという人にはすべからず読んで欲しいが、守備範囲外の人にはまったくもって面白くない本でもある。以前読んだ斎藤美奈子の『趣味は読書。』は少し邪道本(大半がけなすのみ)だが本書はまともな書評本。ただし内容がかなり知的(硬派)だ。

本格派専門書

 まずびっくりするのが『朝倉物理学体系(全11巻)』なんかや『フレーゲ著作集(全6巻)』なども含まれていることだ。こういう本はまず一般の人には読めないだろう(たぶん)。そもそも、本格物理所と本格哲学書を一緒に並べることができるだけで尊敬する。だからこそ知の巨匠と呼ばれるゆえんなのだろうが。この手の本としては、『Essential 細胞生物学』(\8,000)、『チャンドラセカールの「プリンキピア」講義』(\12,000)、『機密戦争日誌』(上下で\20,000)、『ランボー全詩』(\8,155)などがある。
 はっきり言って、一生読める気がしない。。。『Essential 細胞生物学』なら少し興味がある。

手が出そうな本たち

 もちろんそんな本ばかりではない。ライトノベルのようなかる〜い本はもちろん、ミステリーや小説はほとんど入っていない。だがそれでも面白そうな本がずらりと並ぶ。すこし知性派を気取るような人なら読みたくなる本がどっさり増えて困ってしまうと思う。例えば、次のような本がそうだ。並び順は興味の強さ順。

  • 『大破局(フィアスコ)』(\1,700)
  • 『CIA洗脳実験室』(\1,900)
  • 『見る脳・描く脳』(\2,600)
  • 『脳のなかの幽霊』(\2,000)
  • 『瞬間情報処理の心理学』(\2,600)
  • 『大絶滅』(\2,400)
  • 『迷宮』(\4,200)
  • 『未知なる地底高熱生物圏』(\3,800)
  • 『子宮の中のエイリアン』(\2,200)
  • 『未来宇宙技術議論』(\2,800) 絶版のよう
  • 『Dr.キリコの贈り物』(\1,300)
  • 『一人の男が飛行機から飛び降りる』(\667)
  • 『昭和陸軍の研究(上下で\8,800)
  • 『イエスの失われた十七年』(\1,900)
  • 尊厳死を選んだ人びと』(\1,748)
  • 『シベリア大自然』(\3,495)
  • 南京の真実』(\1,800)

面白そうだが読みたくない本たち

 奇書も少なからず挙げてある。特に「これは。。。!」と思ったのは『虫の味』』(\1,680)だ。もう、書評を読んでいるだけで気持ちが悪くなってきた。これが写真つきで解説されているんだからもうたまらない。きっと買うことはないだろう。だが、これだけのインプレッションを与えた本を忘れることもまた難しい。もしかしたらいつか買うかもしれない。この手の本としては図解系が多いと思った。

  • 『図解奇形全書』(\3,400)
  • 『図解自殺全書』(\3,600)
  • 『図解死刑全書』(\3,689)
  • 『アナル・バロック』(\2,200)

読書術に関して

 最初の70ページくらい(といっても実質的には40ページ強か)は読書術に当てられている。だが、それほど変わった手法ではなくよくある手法だと感じた。よく言えば正統派ともいう。全体を把握すること、キーワードを抜き出すこと、文脈の把握くらいか。

最後に

 繰り返しになるが、普段小説をメインに読んでいる人にこそ読んで欲しい一冊。そして読書の幅を広げて欲しい。
 個人的にはもう少し経済系をいれてもらうとなおよかったかも。経済系の本はいろんなところでオススメされているから必要がなかったのかもしれないけれど。