ニコニコは健全な競争を促すか

アニメ製作者が、アニメの違法アップロード&ニワンゴに問題提起:痛いニュース(ノ∀`)
 彼らの言葉は酷いが正論であるのも事実だと思う。そのうち業界そのもののビジネスモデルを変えるか、ニコニコ動画のようなサービスそのものがなくなるかのどちらかだろう。僕がうたらじとか蟲師を観ておきながら言うのは何だけども。

より資本主義的な状況にさらされた業界

 当面の問題は、ニコニコ動画を見た上でさらにDVDを買う気にさせるだけの作品をクリエーターが作れているかどうかにもある。まさにニコニコ動画のようなサービスの登場によって資本主義的な競争にさらされているわけだ。ダメな作品はもちろん、まぁまぁの作品ですらは何度でも観れるわけだから売れなくなっていくだろう。
 先週の日経ビジネスには知的財産をどのように生かすかという特集が組まれ、角川やニコニコ動画の話も載っていた。角川の社長とドワンゴの社長は知り合い(だったかな?)ということもあり、ニコニコ動画などの存在を単に否定しているわけではない。実際、ニコニコやYoutubeの宣伝効果のおかげで、未放送のアメリカで『涼宮ハルヒの憂鬱』が1万本を超えるほど売れたらしい。だが、これはあくまで一部の売れている作品の話で、一部を見て全体を見ないのは危険だ。中国では万元戸(古いか?)のような人たち―誤解を恐れずにさっくり言うと成り上がり―が中国で増えているが、じゃあ中国全体も豊かか?といわれるとそうでない。貧困に喘ぐ地域も少なくない。

 このような状況は、まさに現代の「一部の勝ち組、多数の負け組み」みたいなノリだ。下手すれば大企業ですら海外企業との競争で勝てなくなるので、優秀な人材には高給を取らせる必要がある。そうなると結果の残せない、利益の出せない、あるいは誰にでもできるような単純作業を行う平凡な人の給料は下がらざるおえない。up or outまでは行かないけれど少なくともそういう傾向にはなると思う。2chでは結構叩かれているようだけど、これが今の社会の流れを模しているといわれると、批判ばかりはできないだろう。デキるやつは高給取りになるし、デキないやつは長時間働いて、スズメの涙ほどの給料しかもらえないようになるわけだから。社会の多くの人に「そんな社会でいいのですか?」と聞いてみると「いやだ」と答えるだろう。単純に対応する問題ではないために、論理のすり替えになりそうな気がするが。

健全な競争が促されるか

 重要なことはこの資本主義的な状況で優秀な人材が生まれるかどうかということある。ニコニコ動画などのサービスの台頭によって競争は促されるだろう。少し前にNHKで放映されたの『ライスショック』の問題があったが、競争させるにも限度があり、過度な競争は業界を衰退させることにしかならない。業界そのものが悲惨な状況になれば、業界を目指す人材は少なくなるだろう。そうなるとそれこそ将来は危ういと思う。健全な競争とは言えない。少なくともあるレベルまでは安定した生活が保障できるくらいには体質を改善しないと厳しいはずだ。現に、業務の一部を制作費の安い海外に発注するところもある。どの程度かは知らないが知ってるところだとローゼンメイデンのEDでは中国っぽい製作者がいっぱい並んでいて驚いたのを覚えている。この調子では、話は大きくなるが、日本のコンテンツ産業が危ういのは確実。ただ、そうはいえ体質の改善についても、そう簡単に叩くほど体質改善は簡単じゃないのが現実だろう。。。
 

P.S.

価格の問題とかもあったが結局最終的な利益の問題なわけで普通の劇場で放映する映画作品と比べるのは間違っているとしか言い様がないし、価格を下げたところで買わない人は買わないだろうからあまり議論する意味はないんじゃないかと個人的には思ったりしている。