6.アフターダーク

アフターダーク (講談社文庫)

アフターダーク (講談社文庫)

 村上春樹好きを自称していながら『アフターダーク』は読んでいなかったので『村上春樹はくせになる』をせっかく読んでいるのだからこの際読まないとイカンよな、ということで読了。
 以前、すでに読んだことのある人から聞くには、今までとはかなり違う感じの作風らしいということを耳にしていたので特別驚くようなことはなかったが、確かに違和感を感じた。特に人称がよく分からないんだよね。ユリが寝ていてテレビが勝手に映っているシーンがあるけど、そのシーンを眺めているのは誰なんだろう?中国人の少女に暴力を振るった男性もまた誰なのか?何の目的を持ってしたのか?とはいえ、村上文学においてこのような質問は結構意味を成さないことが多いので各自が思いをめぐらすのが正解のなのかもしれない。
 印象に残った文章。

「たくさん歩いて、ゆっくり水を飲めばいいのにね」
「そうじゃなくて」と彼は言う。「ゆっくり歩いて、たくさん水を飲むんだ」