34.「超」文章法 野口悠紀夫 ★★★☆☆

「超」文章法 (中公新書)

「超」文章法 (中公新書)

 文章本としては後発なので、これまでにこの手の本を読み漁った人にとっては、確かに価値が低いかもしれない。しかし、本そのものとしては含蓄を多く含んでいるので文章に自信のない人はぜひ読むべし。

 以前読んだ「すぐに稼げる文章術」とは系統が異なり、「理科系の作文技術」に近く、「売れる」とかではなくまっとうな文章を書くには?といった内容となっている。なので「理科系〜」を読んだことのあるひとなら★二つ。


 内容を大まかに言うと次の4つだ。

  1. 書きたいこと、内容を持て!メッセージが重要だ!
  2. 構成が重要だ!どのような構成が読者を引き込んでやまないのか?
  3. どうしたら説得力のある文章が書ける?-引用と比喩
  4. 分かりやすい文章、分かりにくい文章

 筆者の比喩(あるいはモデル)には絶妙だと思っている。村上春樹の次に言い換えが上手いとすら感じるほどだ。分かりにくい概念を的確な言いかえを使って直感的にもわかりやすく覚えやすく説明している人を他に知らない。これは4章p.121-の「名前をつけよう」に載っているのでぜひ読んでほしい。


 その一方であまり好きになれない部分もあった。自分の嫌いな言い回しをとことん叩いている部分、特にp.220-の「さらなる」に関する件がそうだ。このあたりは反発すら覚えた。が、その当たりは好みなのかもしれないんだけど。

すぐに稼げる文章術 (幻冬舎新書)

すぐに稼げる文章術 (幻冬舎新書)

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

理科系の作文技術 (中公新書 (624))