004.肉体の悪魔

肉体の悪魔 (光文社古典新訳文庫)

肉体の悪魔 (光文社古典新訳文庫)

 あまり恋愛小説を読むことはそれほど多くない(昨年で言えば,11分間と風と共に去りぬくらい)ので,他の作品と比較しにくい.少なくとも,さっき挙げた11分間と風と共に去りぬとは.
主人公の「僕」は少年で若い人妻マルトと関係を持つことになるがその内面的な描写は,若く不安定で,またある面では身勝手な「僕」の思いがありありと描かれている.
まぁ,男の性とも言うのかもしれない.なんとなく,過去の自分の内面を見ているような気がしてくすぐったい気持ちにもなった.

例えば,

p.184-5
...そうした脅し文句は信じていないにもかかわらず,僕は甘美な苦痛を感じていた.それはジェットコースターに乗ったときににも似た,それよりもっと強烈な興奮だった.それで僕はマルトに飛びつき,かつてない情熱的なキスをした.
「僕を捨てるって,もっと何度も言ってくれ」

風と共に去りぬの時にも思ったけど,古典なんて食わず嫌いをしないで読んで欲しい.


あと,アマゾンで見てたら映画もあるみたいだ.ぜひ見てみたい.