049. 男の服装術 スーツの着こなしから靴の手入れまで 落合正勝

[新版]男の服装術 スーツの着こなしから靴の手入れまで

[新版]男の服装術 スーツの着こなしから靴の手入れまで

 ファッションは人によってこだわりが大きく異なるけども、少しでも大人の、あるいは社会人としての服装に興味があるならば、いちどは読んで欲しいと思う。本書に載っている様々な話は、スーツの初心者向けに書かれている割にはかなり細かい部分に突っ込んでいて、正直行き過ぎも感じないではない。そのまま鵜呑みにすれば、かなりの金額が必要になる。僕がこの本を読んで主張するまでもなく、男のファッションの基本はディテールなのだ。
 だが、そうは言っても普通の人がこだわる量には限りがある(お金もね)。だから、まずはココを意識してくれ、っていう部分はきちんと分かるように書かれている(なぜか最後の章に)。その中でも優先順序の高い項目を載せておく。ディテールについてもいろいろ書かれているので詳しくは本書を読んで欲しい。

第一にお金をかけるべきは靴(くつ)!!

 よくファッションは足下からと言われるけど、本書でもそれは同じ。よく、ファッションと言えばまずスーツでしょ、という考え方になるのは、自分もそうだったけど、ありがちだと思う。じゃあ、なんでこのエントリでここまでに「スーツ」っていうワードが一度しか出ていないのか。それは、服装にこだわるならスーツよりもこだわらなきゃいけないことがあるからだ。

 ということで、まずお金をかけるべきは靴。たぶん自分の周りにも靴にこだわっている人はあまり知らない。まぁ、単に友達の数が少ないだけなんだけど、その中でも2人ほど「安くても3万円。それ以下じゃダメ」と言っていた人がいた。で、本書の基準はというと、出来れば10万円の靴を買うように勧めている。もちろん予算に縛られては来るけど、ここにどれだけお金をかけられるかが一つの勝負になる。ネクタイは値段と品質が必ずしも一致しないが、靴は値段が高いほどいいとも言っている。少し頑張って7、8万位を目指したい。

 また、靴は一足ではダメで最低3足程度用意したい。というのも、スーツも一緒だけどメンテナンスの問題があるからだ。最低週一でしっかり靴を手入れする。同じ靴は二日続けて履かない。雨に濡らしたら3日くらいは手入れに時間をかける。そういうことを考えると最低3足となる。とはいえ、出来れば7万×3だと21万となるので、特に就活生には厳しい。ただ、そのうちこういうレベルを狙って欲しいと言う気持ちはある。

二番目はネクタイ

 説明が少し遅くなったが、この2番目というのは、第6章の購入の優先順位で示されたもの。買うべきものは紺地に白のピンドット柄ネクタイとされている。生地は、上質のシルクで1万中盤程度。太さは着るスーツに合わせていいと思うが(あるいは購入順序的には、ネクタイに合わせてスーツのラペルをチョイスすべきなのかもしれない)、一応9〜9.5cmが上質なクラシックに見えると勧められてはいる。ただし、幅よりも長さについて言及されているところが多く、138cm程度の長さのモノが多いが、できれば150cm程度の長さをものを買えと書かれている。その理由は結び方などに関係しているがその辺りは本書で。

最も意識すべきは手入れ

 いくら良いモノを買っても手入れがしっかりしていないとすぐにダメなものに成り下がる。汚くなったらクリーニングに出そうという考え方は間違っている。少し前にはてブでもなぜかクリーニングネタ(増田)がランキングに入っていたが大事なモノを良い品に保つには、常に手入れするしかない。アイロンはかけすぎない、油を使って丁寧に手入れする、シューキーパーは常に利用し、ハンガーもある程度しっかりしたモノを利用する、スーツを脱いだらブラッシングは欠かさない、ネクタイはアイロンを出来るだけ掛けず丸めて片付ける。そういう、多少面倒なことを習慣づけることが服装術の要でもある。


 最後に、この本は、すべてクラシックスタイルのみに言及している。デザイナースーツなどについては全くと言っていいほど述べられていない。だって、デザイナースーツは常に変わり移るモノだから。それに対してクラシックなスタイルは基本的に変わらない。
 ただ、本書を読んだあとでも、流行をある程度追うことがダメだとは僕は思わない。普段着る服なら積極的に追い続けると思う。ただ、それとは別のところでしっかりと「基本」の部分を理解しておくことは流行を追うこととは矛盾せず、むしろ追うにしても深みを与えると思っている。
 なので、最初にも書いたけど、少しでも興味があるならぜひ読んでおきたい。